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人材育成、人材活用の手段として、ES研修はアリか/ナシか

更新日:2022年9月14日

中小企業の経営やマネージャーにとって人材育成と人材活用とは常に頭が痛い問題ですよね。

(別に中小企業だけではなく、大手企業にとっても大切ですが)

人材育成とは人を育てるという関係上

目に見える、わかりやすい答えがありません。

こうすれば必ずこういう風に育つ

というわかりやすさとは無縁なもの。

ある意味、雲をもつかむような感覚すらありますよね。


だからこそ、何から始めたらよいか。

今行っている人材育成や人材活用の手法が正しいのか。

など、悩みと模索はつきないですよね。


だからこそ、世にあまたある

人材育成、人材活用のための手法に関して、

ひとつひとつ、自社の状況、目指すべきところなどに

合致しているモノなのか、検証していく必要がありますよね。


① ES研修とは

② ES研修のための段取り

③ ES研修は人材育成の手法としてはありかなしか

④  まとめ



① ES研修とは

ES研修とはEmployee Satisfaction研修のことです。

直訳すると従業員満足度研修。 ESは組織において従業員のやる気が満たされ、かつ不満要因が取り除かれストレスが少ない状態で仕事をできているかを表す指標になります。

より細かく分解すると

(ⅰ)人間関係因子

(ⅱ)自己実現因子

(ⅲ)経済性因子

に分けることができますね。

各因子を向上させることで組織全体の生産性を上げていくという考え方です。

そして、これらにアプローチしていく研修を総称してES研修といいます。

(ⅰ)人間関係性因子は言い換えれば、組織の人間関係や風通し、協力関係の健全化などともいえます。比較的対策に費用は関わらず、大掛かりなシステムの導入も必要ないことが多いです。

その反面、社風や人間関係、風通しのよさなどの

目に見えないものを対象にしなければならないので

手の付けやすさに反して、実現や効果を測定するのに難しさがあります。



(ⅱ)自己実現因子

個人の性格分析も踏まえ、自己実現と組織の成長目標達成を一致させるというものです。

個々人の自己分析とその中身に応じた対策が必要なため、

個別対応が必要になります。

ゴールに向かっての成長が実感できるか、

さらに、その成長が組織の業務、目標達成、人間関係と

リンク、共存させる必要があり、

そこに難しさがあります。



(ⅲ)経済性因子

これは言葉からもイメージしやすいですが

経済的な満足度を向上させることで心理的な満足度を上げることになります。

手間も費用がかかり、組織的な対応が必要になります。

経済的な満足度というのは一度上げると

もっと上げてほしいといったように

歩留まりが利かなくなる可能性があります。

ある意味、麻薬のように際限なく上げなければならなくなりかねません。

アプローチには非常に注意が必要です。



各因子についての詳細につきましては次回以降の記事にて別途紙面を割きます。




② ESのための段取り

ここまで述べた通り、

ES研修とは満足度を構造分解したうえで、

項目ごとにアプローチしていくための研修とも言えます。

どれをやればよいという明確なものがあるわけではないのです。

また、部署や社風などによって問題もまちまちなので

それらも把握したうえで取り組まなければ、

労力が徒労に終わるということもあり得ます。


そのため、ES研修を行う前に、必ずすべきことがあります。

それが【ES調査】になります。

ES調査はその名の通り、調査になります。

組織の人員たちが日々、どのようなことを考え

どのようなことに悩み、不満を抱えているか。

さらに、業務遂行の上で障害となっていることなどを

洗い出すための調査になります。


このES調査で大切なことは

キチンと、組織の従業員の本音を引き出すということです。

上層部や上司からの報復が怖い

上司からの覚えが悪くなる

などに怯えて本音が出てこないと本末転倒です。


そのため、聞き出すための方法が肝になります。

直接一人一人インタビューを取っても構いませんし、

アンケートをとっても良いです。

要は本音さえ抽出できればよいのです。


アンケートひとつとっても

誰が、どの部署の人間が回答したかわからないように

回答者が安心して提出できるように

配慮した方法が必要になります。

地味に、アンケートの質問項目の構成も含めて

かなりのノウハウが必要になってくるのがES調査なのです。


人材育成や人材活用を促進するための

ES調査・ES研修を提供している研修会社もいくつもあります。

ES研修に関しては情報発信している会社も多いですが

より、正確で意義あるES研修を実施するためには このES調査にどれだけのノウハウをもち、力を入れているかで

業者を比較して、依頼する会社を選定するのもよいでしょう。




③ ES研修は人材育成の手法としてはありかなしか

ここまで述べた内容でわかる通り、

ES研修というのは人材育成、人材活用のための道具というよりかは

組織の生産効率を向上させるための取り組みと言えるでしょう。


不満の解消というのはあまりにも従業員にすり寄りすぎたり媚びを売りすぎると

権利意識が肥大化して、

組織運営に支障をきたす可能性もあります。

しかし、組織の生産性を悪化させる要因を排除する必要はあります。

つまり、ES研修というのは人材育成、人材活用自体のためというよりも

人材が健全に成長し、組織の戦力となるよう育成するための

前段階、地ならしなのです。


業務遂行と人材を育成するための健全な環境を構築し、

やる気を出させるための環境を構築する。

それらを阻害する要因を除去する。

それらのための調査と取り組みが

広義な意味でのES調査・ES研修と言えるでしょう。


④まとめ

『人材育成、人材活用のための道具、手法』というとらえ方で言うと

ES研修は適切ではないでしょう。


人材がやる気をなくしたり、腐ってしまっていては

いくら人材育成、人材活用を進めようとしても

進んではいかないでしょう。

それらを改善するための手法というとらえ方の方が

適切でしょう。


つまり、ES調査・ES研修というのは

人材育成を図る環境づくり。

人材育成、人材活用を始めるStep0のような取り組みとしてとらえるのがよいでしょう。




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